MG 小澤美那
大切な仲間とともに
2018年3月末。Jリーグ観戦が趣味だった私は、「関東の色んな会場でサッカーを観る!」と意気込んで横浜にやってきました。しかし私が4年間を共にしたのは、名前にフットボールが入っていて、キックオフ・パント・オフサイドといったサッカーと同じワードが出てきながらも、茶色い楕円形のボールを用いるスポーツでした。味の素スタジアムでサッカー観戦をするはずが、なぜかそのすぐ隣のフィールドでアメフトの試合をする生活を送ることになりました。
これまで自分の人生をなんとなくで決めてきた私が「ここでなら成長できる」と強い確信を持って選んだのが、この部活でした。決して良いとは言えない環境で泥臭く練習に励む選手たちと、組織を支えるスタッフの姿は、新歓で出会ったどの団体よりも輝いて見えたのです。このチームを動かす歯車の一部になりたいと思い、入部を決めました。
初めは先輩方に頼りきりで、数えきれないほどミスをしました。ミスを無くしたいと思い、人より少ないタスクを人より丁寧にこなすようになりました。少しずつ自分の長所を見つけられるようになっていきましたが、私はキャパが小さく、下級生の頃は自分のことで精一杯でした。
3年生になったらもっと多くの仕事を経験して先輩も後輩も支えなければ、と思っていた矢先、MGチーフという立場になりました。未曾有の事態に振り回されながらも自分のやりたいようにやらせてもらいましたが、それがほかの誰かにとってはやりづらい環境になっていたこともあったでしょう。それでも一緒になって問題解決に奔走してくれたMGの皆さんのおかげで、なんとかやり遂げることができました。全体を俯瞰して指示を出すことの難しさとやりがいを実感した1年でした。
最終学年になり、「勝てるグラウンドを作りたい」と思いGr.チーフという役職に手を挙げました。それからは、チームを動かす上で自分の負う責任がさらに大きくなりました。他の体育会系部活動や外部の団体とのやりとりは必ずしもスムーズに進むわけではなく、悔しい思いをすることや自分の無力さを痛感することも多々あります。くじけそうになる度に、ひたむきに努力を重ねる部員たちの姿を見て気を引き締め直しました。周りの人々に支えられながらではありますが、100人を超える団体を毎日の練習で動かしていくことに楽しさを感じています。
私は昔から行動する前に考えるタイプで、自分の責任が大きくなればなるほど「常に正しくいないといけない、大きなミスをしてはいけない」と無意識に気を張って頭でっかちになってしまいます。そんなときに、「上手くいくか分からないけれどとりあえずやってみようよ」といつも引っ張ってくれたのは同期の仲間たちでした。個性豊かな私たちはぶつかり合うこともありましたが、みんなと共に進んだ道にはいつも明るい未来が待っていたように思います。まだ20数年しか生きていませんが、これほどまでに私のことを私以上に理解してくれて頼れる仲間に出会える機会はもう無いのだろうと思うほど、私にとってかけがえのない存在です。
バイトもせず、資格も取らず、家事もしない。大学の勉強を人一倍するわけでもない。そんな生活を送ってきた4年間のなかで、唯一誇りを持てるのはこの部で過ごした日々です。周囲の人のこと、自分自身のこと、そして離れた場所から支えてくださる方々のこと。たくさんの「人」について考え、向き合い続けた4年間でした。もちろん楽しいことばかりではありませんでしたが、全てが大切で忘れたくない経験です。この部で経験することに無駄なものは何ひとつ無いと胸を張って言えます。
辛いときは仲間たちの姿を見て、「この人たちと一緒に、あと少しだけ頑張ろう」と思って前に進んできましたが、気づけばこの部で過ごせる日々は本当にあと少しになってしまいました。1日1日を大切にして、ここにいられる幸せをかみしめながら過ごしていこうと思います。
最後になりましたが、日頃より温かいご声援をくださるサポーターの皆様へ心より感謝申し上げます。直接お会いできる機会が減ってしまっているなか、変わらないどころかこれまで以上のお力添えをしてくださる皆様は、ときに現役部員よりもパワフルで、様々な形で私たちに力を与えてくださいました。皆様への感謝の思いを胸に、『TOP8昇格』に向けて突き進みます。試合終了の瞬間まで成長を続ける部員たちを、これからも見守っていただけますと幸いです。