MG 和泉茉南
次へ繋ぐバトン
(記 2021.11.8)
高校最後の 1 年、所属していた書道部には私 1 人しかいなかった。先輩たちが次々に卒業
し取り残された私は、1 人で活動するには大きすぎる教室で黙々と書をしたためていた。
書道というのは、人の心をよく映す。私の感情が少しでも揺らぐと、それは筆先に表れ線は
へにょりと曲がる。私は書と向き合うことで自制心を養い、作品を生むことで自信と心を満
たしていた。
その気質は、MASTIFFS に入った当初も変わらなかった。数あるマネージャー業のなかで
も、SNS の画像やチラシを”制作する”ことに楽しみを見出し、私の精神は高校時代の書道室
から 1 歩も外へ出ない。あの頃いなかった仲間を何人も得たのに、変わらず自己満足を追
求し、孤独に楽しんでいる自分がいた。
私のなかで「MASTIFFS に所属する意味」が大きく変わったのは、とある写真がきっかけだ
った。それは、イヤーブック発行にあたり 7期OB の方からお借りした現役時代の写真だ。
私は手元に届いた写真を初めて見た時、胸が熱くなった。
綺麗だったのだ。とても。
数十年の時を経ているとは思えないほどに。
MASTIFFS で過ごした日々を、大切に大切にされてきたであろうことが容易に想像できた。
写真と共にいただいたメッセージでは、私たち後輩を熱く激励してくださっていた。
その時私は初めて、脈々と受け継がれてきた MASTIFFS の歴史を感じた。このチームで意
志を持って活動してきた先輩方、熱く応援してくださるすべての人の力によって、50 年の
ときを経てきたことを。
そして私は後輩に、次の世代に、一体何を残せるのだろうか。そういうことを考え始めた。
その後の私は、できうる限り「先」のことに頭を巡らせた。書道部時代は「今」の「自分」にしか
目を向けてこなかった私が、「今後 MASTIFFS が組織として大きくなるためには」「サポー
ターの皆様に喜んでもらうためには」、そういうことを無い頭でうんうんと考えた。
やめたいと思ったことは一度もなかった。
私にはこのチームでやりたいことがたくさんあり、それを一緒に叶えてくれる仲間もいる。
とくに、マネジメントボードが設立されてからは、学生の力だけでは到底かなわなかった改
革が爆速的に進んだ。法人設立、新ユニフォームや新マスコット、YouTube ライブ配信。目まぐるしく変わる環境に心踊り、活動は楽しく充実感があった。
マネージャーは、フィールドには立てず、戦略を立てることもできず、選手のケアもできな
い。チームの勝利への直接貢献という意味では最も遠いのかもしれない。
でも、私たちのしている広報や企画や改革は、少しずつでも MASTIFFS を応援してくださ
る方を増やし、それが「ご声援・ご支援」となり、いつかの勝利へと繋がることを信じてい
る。そのことに強く誇りを持っている。
MASTIFFS が大きく進化したこの数年間、マネージャーとして過ごせたことを心から幸福
だと思っている。
最後になりますが、この場をお借りして感謝の言葉を述べさせてください。
・マネジメントボード、法人、コーチの皆様
日頃より私たち現役を全力でサポートし、多くの時間を割いてくださりありがとうござい
ます。時に現役よりも生き生きと、部での活動をパワフルに楽しまれる皆様の姿に刺激を受
け、いつしかそんな大人になりたいと思うようになりました。この 3 年半でかっこいい社
会人に囲まれ過ごせたことは大きな財産だと思っています。今後とも温かいご指導のほど
よろしくお願いいたします。
・OB・OG、後援会の皆様
マネージャーとして過ごす数年間で、何度も「日頃より MASTIFFS へのご支援・ご声援を
いただき、ありがとうございます。」とメール差し上げてきましたが、何度送っても足りな
いほどに常に皆様に感謝しております。いただいた応援メッセージやご回答いただいたア
ンケート、ご参加いただいた企画は何度も見返し、日々の糧にしてまいりました。疲れたと
きや辛い時に「あともう一歩頑張ろう」と思えるのは、応援してくださる方の存在が大きい
ことを、この部活で知りました。皆様の存在はマネージャーの何よりのモチベーションです。
残り2 試合となりましたが、ぜひ会場もしくは YouTubeライブ配信にて応援いただけます
と嬉しいです。
・部員のみんな
毎日ハードな練習に励み、胃の容量以上のご飯を食べ増量し、空いた時間で筋肉をつける選
手。
怪我の知識をたくさん覚え、Agility では選手全員を動かし、部員の体調管理に気を配り続
けるTR。
アメフトに誰よりも詳しく、眼精疲労になりながら試合映像を見て、選手やコーチに意見す
る AS。
そして大好きな MG のみんな。 それぞれのフィールドで自分の得意を生かしたり、不得意をなくそうとしたり、いつも勝つ
ために頑張る部員を尊敬し、誇りに思っています。フィールドに立てずとも試合の
1play1play が心に迫り、ときに苦しく時に嬉しく涙が流れるのは、毎日グラウンドで過ごし
た日々がかけがえのないものだからです。残り2 試合。『TOP8 昇格』に王手がかかってい
ます。日体・慶應に負け、実質一勝のみをぶらさげてTOP に行くのはカッコ悪い。勝って 笑って次へ進めるよう、最後までともに戦い抜きましょう!