【Last Essay’24 #1】WR#14 有坂光正
「嘘をつかないために」
記 2024.10.15
大学入学後、スポーツをする気は無かった自分にとって最初に訪れた転機はMASTIFFSの新歓イベントであった。知識も無く体格も小さい自分に対しての不安は勿論あったが、不思議とこの部活の雰囲気に惹かれ、将来の自分に対して淡い期待感を持って入部を決意した。
1年生の頃は頼れる4年生の先輩に何とかついて行けるように、練習のために大学の用事をサボったりする程とにかく練習した。この時点で学科に友達は出来ないだろうなと薄々感じてはいたが幸いにも試合などを通して日々成長を感じられる環境は何より楽しかったし、泥臭くて常に上を見上げるようなMASTIFFSという集団を好きになっている自分がいた。シーズン最終戦の慶應戦後、全てを出し尽くしてグラウンド上で仲間を称えあう4年生の姿はこれまでのどの部活でも見たことが無いものであったが、心は動かされながらもまだ当時の自分にはその内心を理解することは出来なかった。
2年生になったところで同partの上級生が一気に引退し、覚えなければならないことや責任が重くのしかかった。加えて大敗を喫した春の神戸戦は自分を含めチームにとって大きな衝撃であり、先輩たちの焦りを感じる場面もシーズンが進むにつれ増えていった。挑戦の秋は更に険しい道のりだった。東大戦ではラストチャンスだったエンドゾーンまでの残り数cmを取り切れなかった。課題などで満足に寝られない日も続き、今考えると最も部活をする意味を見失っていた時期かもしれないが、それでも何とか同期とするアメフトというスポーツを嫌いにだけはならないように部活に通い続けた。
チーム運営をする側に回り、やっと伸び伸びとプレーできると意気込んだ3年の秋、大きな怪我をした。試合が自分の唯一の楽しみであったのに、サイドラインから見ることしかできない自分がチームから取り残されているような感覚を今でも覚えている。そして入れ替え戦の帝京戦、2部降格が決まった瞬間はしばらくたっても涙が出なかった。自分の力で何もすることが出来ずチームが負けていく様を見るのは勿論悔しかったが、それ以上に感情をむき出しにプレーして、感情の赴くままに泣いているグラウンド上のみんながただ羨ましくて仕方なかった。その瞬間から、自分が試合に出てチームを勝たせなければこの大学アメフト生活は意味がないのだと感じた。最後のハドルの時には、もう来年を見据えていた。
この経験を通して自分がチームにとって必要となるためにどうするか色々考え、Kick Chiefになることを選んだ。まだまだ知識は浅いしASやpart chiefの力に頼りっぱなしだが、支えてくれた両親、同期、後輩、コーチの方々、応援してくれる方々に感謝しながら、自ら選んだこの役職とOffense最上級生としてチームを引っ張り、必ず目標である1部奪還を成し遂げる。全てはこのMASTIFFSという集団の未来を期待し、人生を変えられるかもしれないと信じて入部宣言をしたあの日の自分に噓をつかないために。
最後になりましたが、日頃から多大なるご支援、ご声援をくださる後援会やOBOG、ファンクラブの皆様に心より感謝申し上げます。「1部奪還」の目標を胸にチーム一丸となってシーズン最後まで邁進してまいりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。