【Last Essay’24 #4】OL#64 今清水蒼大
「見えない場所で支える力」
記 2024.10.21
振り返ればあっという間だった。
大学入学後中学高校と続けていたなぎなたを続けるか新しい武道にチャレンジしようか迷っていた。合気道部の練習場所を探すためにメインストリートを歩いていたらアメフト部の先輩に強引に声を掛けられイベントに参加したのがきっかけでアメフト部を知った。個人競技を中高6年間続けていた自分は、グラウンドの中でチーム一丸となって目標に向かい、必死に取り組んでいた先輩の背中はとても逞しく、こんな人たちになってみたいと思い入部した。
最初の希望ポジションはDLだった。今となってはOLだがOLが1番カッコいいと言っている人を見たことがない。縁の下の力持ちと言えば聞こえはいいが結局は目立たないだけだ。ディフェンスを必死にブロックして押し込んだとしてもWRが1人かわしたときより歓声が上がることはないし、押し合っている横をRBが走り抜けるだけ。他のポジションは評価が加点方式だがOLだけは減点方式だと仲間が言っていて納得した。いい動きをしたときは他のポジションが目立ち、悪い動きをした時だけOLに目が行く。OLになってOLが面白いポジションだと一回も思ったことはない。だが自分はOLになってよかったと思う。アメフトの中で一番チームを体現しているポジションがOLだからだ。
グラウンドの隅っこで同期と練習していた1年生、怪我で思うようにいかなかった2年生、同期の活躍をサイドラインで見ていた3年生、そして4年生。決して順風満帆な4年間ではなかった。グラウンドで練習するよりも室内でリハビリやウェイトをする時間のほうが長かった。怪我が思うように治らず自暴自棄になった時もあった。退部しようか悩み練習を休んだこともあった。そんなある日、退部したいと当時のキャプテンに伝えると同期も一緒に明かりも消えて寒くなっていくグラウンドで親身になって話を聞いてくれた。この時に、この人たちのために踏みとどまって頑張ろうと心の底から思えた。
少し早めにグラウンドに来て石を拾ってみたり共有スペースをひっそりと掃除してみたり誰にも見られず直接勝利には関係ないようなことでも誰かのためになっていると信じていろんなことにチャレンジした。今年の初めには地域清掃でお世話になった町内会の方と連絡を取りながらチームで地域の餅つき大会にお邪魔させてもらった。地域の小学生やチームメイトが楽しそうに餅をついているのを見て今まで何気なく行っていたことが実を結んだような気がしてたまらなかった。
「いい人ほど隠れている」
好きな漫画のセリフだがこの言葉に非常に共感する。試合中もだが練習内外において自分が感じることも考えることもないような場面で多くの人が動いていることに気付くことができるようになった。いろんな人に支えられながらチームが動いていることを胸に刻みながら残りのシーズンを走り抜けたいと思う。
最後のシーズンも折り返しを迎えつつある。ここまでの試合の中で自分が活躍した試合はまだない。このままじゃ終われない。何が足りないのか、何をしなくちゃいけないのか、どうやったら勝てるのか。分かってる。自分が最後まで成長を止めずがむしゃらにシーズンが終わる最後の1秒まで必死に目の前のことに取り組むだけだ。
最後になりますが日頃より多くのご支援やご声援をくださいます後援会やOB・OG、ファンクラブ、スポンサーの皆様に心より感謝申し上げます。拙い文章になってしまいましたが「1部奪還」の目標に向かって全力で取り組んでまいりますので、シーズンの最後まで応援のほどよろしくお願いします。