【Last Essay’24 #5】OL#56 桒山未致
「忘れられない景色」
記 2024.10.23
OLだからって体がデカいわけじゃない。昔から周りに心配されるくらいガリガリで、アメフト部に入ることも両親から猛反対された。2年生になって下からでかい奴がごろごろ入ってきた時は、周囲の歓喜に反して自分の適性の低さを改めて実感し、とてもがっかりしたのを覚えている。
OLだからっておもんないわけじゃない。OLは交代がないからめちゃくちゃプレータイムを貰えて、良くも悪くも全てのプレーに対して大きな影響を与えてしまう。これは他のポジションにはないやりがいなのかもしれない。OLは「5人で1つの生きる盾」であるため、高度な連携が必要でとても奥が深い。だからといって隣の奴と仲良しかと言われるとそれはまた別の話だ。
OLだからっていつも支える側なわけじゃない。2部のチームを相手に春は1勝もできず、組織としても沢山の問題が浮き彫りになった。下級生には不安を与えてしまったり、失望ばかりさせてきたと思う。それでもついてきてくれる後輩たちには特に感謝が尽きない。君たちに支えられているおかげで53期はアメフトができている。下級生ながら試合に出ることは楽しさだけでなく大きな辛さを伴うものだと思う。本当にありがとう。
OLだからって誰の目にも留まらないわけじゃない。試合後に必ずメッセージを送ってくれるばあちゃんをはじめ、遠方から駆けつけてくれる家族の他にも、試合後に声をかけてくれる人が沢山いる。MVPに投票してくれる人までいる。OLこそ至高だと言ってご飯を奢ってくれる人だっていた。弱い自分を何とかしようと専用のメニューを考えて毎回トレーニングに付き合ってくれる先輩もいた。MASTIFFSで出会った人たちはみんな、こんな自分を見捨てないでくれた。何度挫折しても戦う目的をくれた。おかげで胸を張って「誰かのために」アメフトをしていると言えるようになった。
引退まで2ヶ月を切りチームの為に何が残せるだろうと考える。思い出されるのは50期の先輩が慶應戦で見せてくれたあの景色だ。第4Qまで勝ってもおかしくない試合だった。スタンドも、サイドラインも、みんながひとつになっていると感じた。高揚した。震えた。言葉にできない感情が湧き出てきた。もし1部奪還を成し遂げることが出来たなら、あのような一生忘れられない景色を、今度は誰かに届けることが出来るはずだ。MASTIFFSが1部に昇格する瞬間を見られるのはこれが最後になるのだから。
結びになりますが、OBOG・後援会の皆様、スポンサーの皆様をはじめとするサポーターの皆様におかれましては、日頃より私たちの活動を温かく見守ってくださり誠に感謝申し上げます。皆様の心を動かせるような試合を創り上げて参りますので、今後とも熱い声援をよろしくお願いします。