【Last Essay’24 #11】DB#13 山際一颯
「今なにを思うか」
記 2024.11.21
引退を目前に控えた今、胸のなかにあるのはもっとやれたという思いだ。入学式よりも前だったと思う。自分からMASTIFFSのインスタグラムにメッセージを送った。尖っていたあの頃の自分にサークルに入るという選択肢はなかった。高校まで10年間続けた陸上競技にはお腹がいっぱいになっていた自分はなにか新しいスポーツに挑戦したかった。MASTIFFSに入部したのは必然だったと思う。
それからここまで4年間、アメフトが嫌いになったことも部活を辞めたいと思ったこともなかった。それなりに真面目に練習にも取り組んでいたし、それなりに成長もできたと思う。ただ入部を宣言したあの日、自分が目指したのはそれなりの選手だっただろうか。BIG8を代表するようなCBになることを夢見ていたはずだ。
最近、ノミの研究についての話を聞いた。有名な話なのかもしれないが、ここで引用させてほしい。体長2ミリ程度のノミは、自分の体長の100倍を超える30cmもジャンプすることができるという。そんなノミを20cmの高さの瓶に入れると、当然飛び越える。しかし瓶に蓋をすると、蓋にぶつかってしまうため、20cmに満たないジャンプを繰り返すようになる。そして蓋を取り除いても20cmを飛び越えることができなくなってしまうのだ。
4年間は長いようで短いようで長い。長い時間による慣れが蓋をしてしまっていたのだと思う。毎日疲れて帰って眠る。そんな生活を繰り返していた自分は気づくことができなかった。同じような日々の繰り返しに思えるその一日一日が、かけがえのない一日なのだ。もっとトレーニングできた。もっとアメフトについて勉強できた。苦手だったキャッチも死ぬほど練習したら、両面でWRをやっていたのは自分だったかもしれないし、kickのreturnerだってできたかもしれない。4年間は長いようで短いようで長いのだ。本気でやれば何者にでもなれただろう。すぐ形になる結果だけを見ずにいつか何者かになるために毎日飛び続けなければいけなかった。
ノミの研究の話は、このチームを現しているとも思う。チームは2部に落ち、蓋が被せられていたのだと思う。それにみんな気づくことができていない。ぬるい練習をしているとか、そんな話がしたいわけじゃない。本当はみんなTOP8でだって活躍できる選手になれるかもしれない。しかし戦う舞台は2部だ。いつの間にかチームでレベルを測る物差しも2部基準になってしまっていたのだと思う。
ノミの研究の話には続きがある。瓶を飛び越えることができなくなっているノミが、再び飛び越えられるようになる方法があるのだ。それは、30cm飛べるノミを同じ瓶の中に入れることだ。それを見ると他のノミたちも飛び方を思い出す。2部へ落ちてしまったチームの中で、キャプテンである自分は30cm飛ぶ姿を見せ続けなければいけなかった。
ここからは大変おこがましいが、後輩たちに言葉を送りたいと思う。自分が飛び続ける姿を見せられなかったこと、本当に申し訳なく思う。だからこそみんなには気づいてほしい。君たちが戦うべき舞台は2部ではない。 MASTIFFSはTOP8、ひいては日本一を目指し続けるチームでなくてはならないのだ。先程述べたように、長い時間の中で君たちは何者にでもなれるのだ。一人ひとりが30cm飛ぶノミであってほしい。そして全員が現状に満足することなく、ベストを尽くし続ける組織を作ってほしい。
ここで私が好きなビートルズの”Hey Jude”から、歌詞の一説を紹介したいと思う。
”For well you know that it’s a fool who plays it cool by making his world a little colder”
君もわかっているようにクールに振る舞って自分の世界を冷たくしている奴は愚かだ。このような意味だ。熱い思いを日々全面に出して練習してほしい。すかさないでほしい。そんな奴はチームを冷めさせるだけだからだ。
最後になるが、お世話になった方々への感謝の気持ちを述べたいと思う。
後援会、OB・OG会、サポーターの皆様、いつも多大なるご支援・ご声援を頂きまして誠にありがとうございます。皆様の応援がこんなにも力になるのかと、4年生になりより実感しました。あともう少し一緒に戦ってください。この文章を書いている今は来年の舞台がわかりませんが、後輩たちなら大丈夫です。きっとやってくれます。より上の舞台で戦う後輩たちを来年からは一緒に応援しましょう。
両親へ、自分のやりたいことを不自由なく続けさせてくれてありがとう。遠くからいつも応援に来てくれてありがとう。わかっていながら甘え続けて、なにを今更という感じでしょうが、本当にわがままで自分勝手な息子でごめんなさい。でもおかげさまで22歳まで、最高の青春を過ごすことができました。これからは少しずつ恩返ししていきます。
そして同期へ、お互い言いたいことはあるだろう。後悔や反省も多いと思う。ただ12月に立てた「1部奪還」という目標に対する熱意は日々増していくだけだと思う。あと少しやり切ろう。そして最後は最高の形で終えよう。美味しいお酒を飲もう。