「もう二度と」
記 2024.11.30
1年生のころ、練習を楽しいと思えたことはほとんどなかった。それでも上級生に交じって試合に出る同期や、グラウンドの端っこでいつも一緒に青ダミをする同期が刺激になって、重い腰を上げてグラウンドに足を運んだ。
2年生になるとOLにすごい後輩が入ってきた。二人は入部した時からすでに自分より体が大きく、入部してからもメキメキと成長していった。そんな後輩を横目に自分は、せめてヒットやウェイトで抜かされないようにと必死で練習した。それでも後輩二人の成長と向上心は素晴らしく、「もう仁志より後輩の方が強い。」とOLの先輩に言われたこともあった。振り返れば、この時期が一番アメフトが苦しく、部活を辞めたくなったと思う。
3年生になると、少しずつヒットで勝てる場面が増えてOLとしての自信が出てきた。しかし、それとは裏腹にチームは負けを重ね、シーズン最後の帝京との入替戦を迎えた。入替戦前、O#コーディネーターから「最後はOLのヒット力を信じる。」と言ってもらえて、すごく嬉しかったのを覚えている。迎えた最終戦、O#ファーストプレー、相手のNGにヒットした時、まったく押せなかった。対面のDLは今までヒットしたどのDLよりも重く強く感じた。O#が点を取れないまま、リードされて時間がたつにつれて、声を荒げるD#の選手やフィールドを見つめるスタッフが、不安げな表情になっていくのがわかった。不安そうな顔を早く安心させたくて必死にブロックした。それでも、対面との勝負に負け続けO#はTDを取れずに終わった。試合終了の笛が鳴った時には周りがみんな泣き出した。呆然とする同期、泣きじゃくるスタッフ、後輩に謝り出す4年生やそれでも温かい言葉をかけてくれるOB・OG、後援会の方々を見て、自分の力不足でとてつもなく大きなものを台無しにしてしまった気持ちになった。怪我をしていた同期がグラウンドに立てないのに、試合に出れた自分がBIG8で戦う舞台を奪ってしまった。D#がこんなに止めてくれたのにO#が点を取れなかった。勝つために全力を尽くしてくれたスタッフの頑張りを裏切ってしまった。憧れた先輩方が守り抜いた1部の座を失ってしまった。そんな考えが頭を埋め尽くし、入替戦後ずっと同期や後輩に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
代替わりの時期が来て4年の代が始まっても、その思いが消えることはなかった。もう二度と自分が弱いせいでチームが負けないように、もう二度と対面の相手を押せないと思うことがないように、もう二度と最終戦で仲間が悲しむ顔を見ないように、それが今の自分のモチベーションだ。たとえ今シーズン1部奪還することができたとしても、帝京戦に負けた後悔が消えることはないと思う。それでも、憧れたMASTIFFSの強いOLとしてMASTIFFSをあるべき場所に戻し、後輩にバトンを託せたらいくらか心が晴れるだろう。OLの後輩は皆、同じ時期の自分より上手だ。今年1部に昇格してもちゃんと練習に励めばきっとBIGで通用するだろう。
とうとう明日、1部昇格を大きく左右する明学戦がやってくる。自分の引退試合になるかもしれない。4年間を締めくくる最後の試合で今度は自分たちが勝って笑えるように、明日の試合も自分の全てをぶつけてブロックしようと思う。
最後になりますが、OB・OG、後援会、ファンクラブ、スポンサーの皆様におかれましては日頃より多大なるご支援ご声援を賜りまして誠にありがとうございます。支援や応援のメッセージ、差し入れやスタンドからの歓声が届くたびに多くの人の支えを実感して、フィールドでの励みになりました。今シーズン最後に「1部奪還」を果たして恩返しできるように全力で闘いますので、変わらぬ温かいご支援・ご声援のほどよろしくお願いいたします。