
「もう1つのシリウス」
記 2025.10.07
「1番明るい星・・・あれがシリウスか!」などと中高6年間天文部で星ばかり見ていた自分は、大学では違うことをやってみたかった。
でも、まさか体育会に入るだなんて・・・
2022年4月28日。
アメフト部の新歓に参加した自分は、MASTIFFSの雰囲気を好きになり、気づいたら皆の前で入部宣言していた。
「とりあえず最初1年だけやってみて合わなかったら辞めればいいか」くらいのテンションでMASTIFFSの仲間入りをした。
入部直後はどういう心構えで過ごせばよいか分からなかった。
部員の顔が覚えられずサークル棟で他部活の人に挨拶してしまったり、謎に旅行土産のとり天せんべいを部員全員分買って持ってきたりしていた。
ただ、優しい先輩と頼れる同期のおかげでとても楽しく業務をしていた。
サークル棟の雰囲気を好きになり、自宅が遠いにもかかわらず、1年生の間から22時近くまでサークル棟で先輩と話していたこともある。
秋初戦。東京ドームでの早稲田戦は鮮明に印象が残っている。
スモークを浴びながら入場し、人生で一番爽快な気分を味わった。
東京ドームで試合したことを友人に自慢しまくっていた。
特に自分は何も苦労していないのに・・・
棚からぼたもち感が強かった。
この年はTOP8で全敗という結果ではあったが、正直当時の自分は勝敗なんてどうでもよかった。
サイドラインで試合を見れる臨場感が最高だったし、仲間が試合に出ているのを見るのがとても楽しかった。
ただそれだけだった。
シーズンが終わると、仲良くしていた同期選手はどんどんチームを離れていった。
自分もその流れに乗ろうかと一瞬思ったが、モチベーションは高かった。
コロナに罹り1週間自宅療養していた頃は、早く皆に会いたいとまで思っていた。
卒業生の追いコンでメッセージビデオの作成を受け持った。
初めての動画編集であったが、会場にいる全員が楽しく観てくれたことは、今後のモチベーションに繋がったし、動画編集の面白さを覚えるきっかけとなった。
2年生になり、イヤーブックのデザイン担当を受け持った。
後回しにしすぎて夏のオフ期間を全返上したが、冊子のデザインはとても楽しかった。
写真選び・レイアウト・色遣い、全部自分次第の冊子が出来上がる。
前年度まで使われていたテンプレは利用せず、デザインを一新させた。
もちろん、見やすさを意識しながら。
冊子が届いて段ボールを開けた時の至高感と達成感。
目の前で冊子を購入してもらえる至福感。
あれは一生ものだ。
だが、モチベーションは高いままではない。
作業がマンネリ化していき、虚無感に襲われた。
「自分はここで何をしているのだろう?友達は皆ワイワイ遊んでいるのに」
虚無感と戦っているうちに入替戦に敗れ、MASTIFFSは2部に降格した。
帝京大学が雄叫びをあげているなか、涙を流す仲間の顔を見るのはとても辛かった。
そんななかでも、サポーターの方々の温かさが心に染みた。
話しているうちに部員の笑顔が戻ってくるのを見ると、力強いサポーターが付いてくれているという安心感が出てくる。
まさしくOB会長のおっしゃる通り、サポーターは「ファミリー」だ。
3年生になり、いよいよ上級生の仲間入りだ。
MG(マネージャー)を率いる立場になり、一番心がけたことがある。
それは物品管理だ。
多岐にわたる作業をしているMGは、自然に作業環境が悪化していく。
放置される文房具、ホコリまみれの冊子、破損した棚、Gが出る部屋。
寄付頂いた物品や、サポーターの手にわたるグッズをこんな環境には置いておけない。
そう思い、部屋の整理・掃除は定期的に行っていた。
やりすぎて他の仕事を怠ってしまうこともあるくらい、これだけは今も続けている。
春になると、自分が勧誘した後輩が入部してくれたこともあり、やる気がみなぎった。
「1部奪還」に向け、とてつもないモチベーションを持ち高め合っている56期(当時の1年生)の皆が自分を奮い立たせた。
1部奪還を果たした入替戦。
鉄平のタッチダウン、千代倉のインターセプト、笑顔あふれるサイドライン、喜び湧き上がるスタンド。
これらが目に焼き付くと同時に、とてつもない喜びが爆発していた。
輝く白星は、シリウスみたいに眩しかった。
喜びに満ちている暇もなく、大仕事が自分に回ってきた。
サポーターの方々に感謝の気持ちを伝えるイベントの企画と運営だ。
スポンサー企業の方々や後援会、OB・OG、近隣町内会、大学職員など計70名ほどをご招待する一大イベントである。
身内だけが楽しめればいい高校の文化祭実行委員とは違う。
MASTIFFSを応援して良かったと思っていただけることが最重要だ。
そんなイベントを創り上げるために、頭と時間を費やした。
当日の運営もかなりあたふたしたが、ご来賓アンケートで「楽しい時間を過ごせた」と書いていただいたことはとても嬉しく、もう1年続ける勇気が湧いた。
ただ、この1年はそう簡単に行かない。
週5回片道2時間通学を続けている自分は心身共に疲労が蓄積し、何度もチームを離れたいと思った。
そんな自分に活力を与えてくれたのはMGの後輩たちだ。
個性あふれるMGの仲間は自分より優秀だ。
視野の広い3年生。常に先を読んで動く2年生。今までにない視点から案を出してくれる1年生。
頑張っている皆を見るとやる気が戻ってくるし、愉快な後輩たちとご飯を食べると自然と元気づいてくる。
このメンバーだからこそ、自分はここまで続けられたのだ。
グラウンドに忘れ物したり、重要な連絡を怠ったり、挙句の果てに試合の日に寝坊したり・・・
みんなには迷惑かけてばっかりだった。
こんな不甲斐ない自分に付いてきてくれてありがとう。
あと2ヶ月、最後まで続けることを誓う。
「もう1つのシリウス」を見つけるために。
この文章を読んでいただいているサポーターの方々。
皆様にはいつでもどこでも勇気づけられました。
試合会場はもちろんのこと、メール、SNSのコメント欄、差し入れのAmazonギフトメッセージ。
間違いなく自分が4年間続ける糧になりました。
この場をお借りして感謝申し上げます。
今後とも『常昇』を続けるMASTIFFSにご期待・ご支援のほど、よろしくお願いします。