
「あと少し、もう少し」
記 2025.10.20
昔から、ちょろいタイプだった。
MASIFFSに入部したのもその性格のせいだ。「向いてるよ!」「あさみちゃんが必要だよ!」——そんな嬉しい言葉をかけられて、イケメンの先輩が何人かいたこともあって、深く考えずに入部を決めた。
強い意志や覚悟があったわけでもない。
ただ、今までプレイヤーとして部活動に打ち込んできた自分にとって、スタッフとしてスポーツに関わることは“新しい挑戦”だった。
AS・MGの体験のとき、一生懸命説明してくれる先輩の隣で爆睡していたくらい、最初からTR一択だった。
一番“プレイヤーっぽい”と思ったからだ。
でも、始まってみればTRの仕事の大半は地味だった。
ラインカーで線を引き、とんぼでグラウンドをならし、バケツで水を撒く。雨の日は水抜きをする。
誰でもできる作業ばかりで、“お手伝いさん”のように感じることも多かった。
1年目の私は、何度も「やめよう」と思っていた。
2年生になるタイミングで、TRユニットがATとSCに分かれた。
どちらも魅力的だったが、私はSCを選んだ。指示を出すのは得意だったし、陸上で培った知識を活かせることが嬉しかった。
コーチからAgilityのメニューを学び、InstagramやYouTubeで新しい動きを探しては取り入れた。
MASIFFSには毎日コーチが来てくれるわけではない。だからこそ、教わった内容を細かくメモし、質問を重ね、自分なりに学び続けた。
コーチがいなくても、自分でメニューを提案し、選手の疑問にいつでも応えられるよう努めた。
できることが増えていくのは、ただ純粋に楽しかった。
それでもやっぱり、試合に負けると、どうしようもない無力感に襲われた。
自分が考えたメニューも、指示出しも、すべて自己満足だったのではないか。
プレーしている選手の方がAgilityに詳しいし、実戦の感覚もある。
そんなふうに、自信を失いかけることもあった。
それでも、辞めずに「あと少し、もう少し」と思い続けてきた。
SCとして、選手の筋力・持久力・柔軟性・スピードなどを高めるトレーニングを考え、選手が最高の状態でプレーできるよう支える。
1年生のときは意味がわからなかった水抜き、水撒き、声出し、グラウンド設営も、文句を言いながらのときもあるけれど、できる限りのことを全力でやる。
4年生になってやっと、自分なりの戦い方を見つけた。
学生TRの力は、確かに微力かもしれない。
でも、無力ではない。
もどかしい瞬間は死ぬほどある。
それでも、「あと少し、もう少し」と踏ん張ったその先に、達成感とか、自分がここにいる意味とか、いろんなものがちゃんと待っている。
フィールドに立たなくても、“一緒に戦う”ことができた。
そう思えるように、引退まで、あと少し、もう少し、がんばろうと思う。
最後になりましたが、OB・OG、後援会、ファンクラブ、スポンサーの皆様におかれましては、日頃より多大なるご支援・ご声援を賜りまして、誠にありがとうございます。
そして、何の相談もなくアメフト部に入部し、ろくに帰省もできなかった私を、それでもずっと応援してくれた両親に、心から感謝しています。
この秋シーズン、私たちは最後まで諦めることなく戦い抜きます。
どうか、最後までMASIFFSへのご声援をよろしくお願いいたします。