OL #70 鈴木心
信頼
2018年4月、私は硬式野球部での活躍を夢見て、横浜国立大学に入学しました。しかし野球部に入ると言っているのにアメフト部の先輩はしつこく勧誘をしてくるので、「うるさいから一回行ってみてやるか」と思って足を運んだグラウンド。そこで初めてアメフトの迫力を目の当たりにし、夢中になってしまった私は、数日後に忘れもしないあの大学の近くの焼肉屋さんで、当時の 4 年生を前に同期の芳野くんと同時に入部を決めました。このように衝動的にアメフトを始めて3年半、なんだかんだ続いています。
何が言いたいかというと、入部を迷っている、または全くアメフトなど眼中にないそこのあなた!とりあえず一回練習に来てみませんか!?ということです。後悔はさせません。入学してすぐの勧誘期、1 年の浪人を経てあまりに顔が老けていたため新入生と認識されず、アメフト部と混声合唱団(「いい声出そうだね!」と声をかけてただきました)からしかメインストリートで勧誘されなかった私が保証します。
私の身の上話と勧誘はこれくらいにして、これまで3年半ほどアメフトをやってきて感じていることを書かせていただきます。アメフトは、どのスポーツよりも「信頼」が大切であると思います。なかでも、特にOLというポジションは周囲からの信頼のうえに成り立つ、とても難しいが誇り高きポジションであると、私自身強く身に染みて感じています。しかし、私はその信頼を得るチャンスを無下にし、何度もコーチや先輩、同期からの信頼を裏切ってきました。例えば、下級生時代、チャンスを貰ってもやってはいけないミスを連発し、何度も自分のせいでプレーをつぶしコーチや先輩方に迷惑をかけました。また、JV期で主将になったのにも関わらず、下手な自分に失望し、身勝手にアメフト部を退部することを試みて無断で練習を休むということもありました。
上級生になって試合に出るようになってからも、自分の失敗なのに「なんでこんなに俺にだけ周りは強く当たるんだ」と不貞腐れ、親身な指摘に耳を傾けずに身勝手な態度で練習に臨んでしまう時期もありました。今思えば、OLの小さなミスでプレーは簡単につぶれてしまうので当たり前です。その他にも、信頼を裏切るような行為はたくさんあったように思います。
それが、自分が信頼を保つためにやってはいけなかったことだと気づいたのは、遅いもので 4年の春シーズンでした。あまりのOLユニットの不甲斐なさから「このOLで秋は戦えない」とコーチから言われてしまい、入部して以来最大の壁にぶち当たった時です。これまで積み重ねてきたチームからの信頼が地に落ちてしまった私はそれから練習に行くことすら気まずい日々が続き、退部という言葉すら寝ても覚めても常に頭の中にある日が続きました。そこで私は、これまでの自らの振る舞いを猛省するとともに、「一体自分は誰のためにアメフトをやっているのか」ということを考えました。出した答えは「自分がお世話になっている大切な人達のため」です。今までは自分が活躍したい、自分さえ良ければいいという考えが頭の中にあったと思います。しかし私には、いつまでたっても下手くそな自分に熱心に指導してくださり、退部を相談したときには全力で止めてくださったコーチや先輩方、すごく優秀で、またどんな時でも仲良くしてくれる同期、こんな私についてきてくれる後輩、いつも応援してくださるOBOG・後援会の方々、そしていつも私のことを気にかけてくれ、試合を楽しみにしてくれる家族の支えがあり、そのうえで私はプレーをすることができています。これに気づいた時期は遅かったかもしれませんが、この悩みに気づいた時期こそが今の私を支えています。かっこよくなくたっていい、普段のコーチの方々の言葉をお借りすれば「下手くそだっていい」、私はこの多大なる支援をくださる多くの方々からの信頼を得るべく必死に練習や試合に臨もうと考えました。4 年になった今でも、まだまだ信頼を得られたとは思っていません。チームの一員として試合に出してもらっている以上、私の持ち味である「元気・明るさ」を武器に、この秋までには「#70の背中をめがけて走れば間違いない」と誰もが思ってくれるような、そんな信頼される泥臭いOLを目指して努力していきたいと思います。
私にはこのように感謝すべき人がたくさんいますが、最後にこの場をお借りして直接では 照れくさくて言えない大好きな同期への感謝を言いたいと思います。
俺は、みんなのおかげでここまで来ることができた。本当にありがとう。辞めようか迷ったとき、みんなと一緒に励ましあいながら頑張ったり、時には遊んだりふざけあったりして楽しかった思い出がたくさん出てきて、辞めることでみんなを失いたくないと思った。時にはぶつかることもあったけど、それはお互い信頼しあっているから本気で意見をぶつけあえたと(俺は勝手に)思っている。このようにみんなが俺を成長させてくれた3年半だった。
他にもたくさん言いたいことはあるけど、それはまた今度。最高のシーズンにしよう!!