【MASTIFFS’22 Last essay #23】OL#75 主将 橡木勇希

覚悟を決めて、喜びを知り、強くなれる

(記:2022/11/15)

 

覚悟を決めること、喜びを知ること。

これらは、強くなるための1番の近道であると私は思う。

 

4年間の活動を振り返ってみる。この部に入部して1年間は全ての経験が新鮮で、純粋にアメフトの魅力に引き込まれていった。秋リーグ戦はスタッフ登録をして、試合中は自ら志願してオフェンスコーディネーターの隣に陣取るようになった。作戦ボードを出しながら、隣で多彩に繰り出される戦術の面白さに取りつかれていった。劇的な試合展開に感動し、気づけばアメフトも、このチームのことも大好きになっていた。

 

2年目。急激に体が大きくなった私は、先輩の助言によってTEからOLへコンバートした。春オープン戦で練習を重ね経験を積みたいと考えていた矢先、コロナの影響でグラウンドでの活動ができなくなってしまう。夏に活動が再開してすぐ、先輩の怪我によっていきなりスターターになる可能性が出てきた。OLにおいては初心者同然の自分が試合に出るしかないと分かったこのときが、覚悟を決めた瞬間である。とにかく必死だった。やらざるを得ないという後ろ向きな気持ちはなく、やってやろうと腹を括り、居残り練習も含めた全ての練習に本気で取り組んだ。初めてDLと1対1の勝負をしたときには、手の指を怪我してしまった。シーズンが終わった後骨折していたと分かるのだが、当時の自分にとっては手の痛みなどどうでもよかった。ただ、大好きなチームで試合に勝つ、そのために必ず自分が力になる。その思いがあるだけで、覚悟があるだけで、練習から離れる理由は吹き飛んだ。覚悟を決めた人間は、簡単には倒れない。

 

迎えた日本体育大学戦。2017年に入れ替え戦で敗れた因縁の相手に大勝を収めることができた。自分自身は最低限のプレーをしただけだったが、アメフトをするうえでこれ以上ない喜びを、先輩方のお陰で味わうことができた。オフェンスとして時間をかけて準備してきたプレーが成功してタッチダウンする。サイドラインに戻ると仲間が満面の笑みで迎えてくれる。そして、試合に勝つことができる。今までの厳しい練習を忘れるくらいの喜びが、そこには待っていた。この試合を含めて、みんなと喜びを分かち合う数々の経験は、自分が4年間部活を続け、強くなるための大きな原動力になった。

 

しかし、私が4年間で味わったのは、決して喜びだけではない。先述の日体大戦に続いて行われた慶應義塾大学との試合では、オフェンスとして準備したプレーがほとんど機能しなかった。自分は相手との勝負にことごとく敗れ、QBを守ることができなかった。試合にも完敗して自分の弱さを実感するとともに、アメフトの本当の怖さを初めて知ることになった。自分の1つのミスで試合の流れを壊したり、味方を危険に晒してしまう。その恐ろしさは、この試合だけでなく4年間で何度も感じることがあった。その度に、より強くなると自分に言い聞かせていた。

 

3年生になってからは、2年生までとは違い部活が苦しいと感じることが増えてきた。自分が到達しなければならないレベルが分かるので、それに達していない自分にもどかしさを感じることが多かった。ミスを恐れて消極的なプレーが増え、変えようとする努力も空回りしているような感覚があった。4年生で主将になってからは、他のTOP8のチームと自分たちとの大きな差を感じ、悩むことが増えた。シーズン中も結果がついてこないなか、責任を自分で抱え込むこともあった。

 

しかし、どんなときもグラウンドに行けば、沢山の後輩たちが覚悟を決めて練習に向き合っていた。かつての自分がそうだったように。チームとして人数も経験値も足りないなか、4年である自分たちとともに覚悟を決めて戦ってくれる後輩たちがいる。そんなチームの主将であることに、今までとはまた違う、大きな喜びを感じている。

 

怖い、苦しい。様々な感情が、4年間で溢れていた。それでも部活を続けて来られたのは、大好きなこのチームを背負って立ち、最後までやり切る覚悟を決めているからだ。そしてその先に、何にも変えがたい喜びがあることを知っているからだ。私は後輩たちに、アメフトをする喜び、MASTIFFSで活動する喜びを教えることができているだろうか。そのために残された期間は、残り僅かである。下剋上を目指す戦いもあと1試合。最後に皆で喜び合うために、最前線で戦う姿を見せ続ける。

 

最後になりますが、日頃よりMASTIFFSを応援してくださるOB・OG、後援会、ファンクラブ会員の方々に、心より感謝申し上げます。TOP8で戦えることへの感謝と喜びを胸に、日本大学との最終戦も下剋上を目指し戦い抜きます。ご声援のほどよろしくお願いいたします。

【MASTIFFS’22 Last essay #22】MG 主務 吉良美咲

MASTIFFSに関わるすべての人と共に

(記:2022/11/14)

 

わたしは弱い人間です。

中高6年間、学生生活のほとんどを費やした吹奏楽。

わたしの自信のなさでみんなと夢を叶えることができませんでした。

 

「自信があることは?」

「あなたの夢は?」

私はこの質問が苦手です。

よく周囲からコツコツ努力できる人だと言われました。

陰ながら人一倍努力も重ねました。

しかし、そんなに努力をしてもわたしより秀でている人なんて五万といます。

そんな状況でなぜ「自信がある」といえるのか。

人の前で失敗することを恐れ、いざ人の前に出ると手も足も震え、頭が真っ白になりました。

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「美咲は熱いから」

わたしはこのことばが嫌いでした。

確かに幼少期から大の負けず嫌いです。

中高時代の悔しさから「勝ち」に対して貪欲でした。

でも本当は自分の自信のなさを隠すために、目の前のことに全力で取り組んできただけです。

しかし、そんなことばをかけられるたびに

まるで周囲と一線を引かれているような気がして

ギャップに苦しんできました。

 

年末のミーティングで

「美咲の熱さは、MASTIFFSへの大きな愛の証」

ある同期がこんなことばをかけてくれました。

そのことばに救われました。

「大好きなMASTIFFSだから」勝ちたい。

MASTIFFSに携わる全ての人が好きで、わたしを支えてくれている。

この愛をMASTIFFSのために還元したい、そんな思いで主務になる決断をしました。

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そんなわたしが現在この歴史ある大きな組織の主務として、なぜ活動できているのか。

 

ここまでくるにも多くの壁がありました。

新型コロナで自粛を余儀なくされた2年生。

少しでも前向きになっていただけたらと、部員のメッセージリレーに取り組みました。

無観客試合が続き、サポーターの皆様との繋がりの希薄化を感じた3年生。

部員の頑張る姿を見ていただけたらと、試合配信に取り組みました。

初めての試みであったため失敗の連続で

眠い目をこすりながら先輩と、毎日準備を重ねました。

しかしその配信を通して、全国そして世界各地にいるMASTIFFSの皆様と繋がることができました。

配信を通していただいた温かい「ご支援・ご声援」の数々がチームを強くし、

「TOP8昇格」を後押ししてくださいました。

MGの活動がチームを強くすると再認識した瞬間でした。

 

しかし4年生になって思うことは

「MGは一番勝ちに遠い存在で無力である」

そんなことでした。

 

少し極端ですが、今後の人生よりも「今しかできないことに打ち込みたい」

そんな想いで挑みました。

2022年度、初めてフィールドに立つ選手ばかりのチームで始動。

春オープン戦。「勝てない」チーム状況、部員の士気低下をそばで感じながらも

何もできない自分が嫌でたまりませんでした。

現状に嘆き、先が見えないトンネルをずっと歩いている感覚に陥りました。

秋リーグ戦。創部初のTOP8の舞台で『下剋上』を果たす。

そんな覚悟をしたはずなのに、毎試合終了の笛がなるたびに

もっと何かできたのではないかと自身の存在意義を自問自答し、

未熟さと無力さを痛感しました。

グラウンドでサイドラインで、共に戦ってきた仲間を信じ最後まで声を出し続ける。

そんなことしかできませんでした。

わたしの弱さで多くの人に迷惑をかけました。

こんなわたしが人の上に立つべきではない。

何度も思いました。

 

それでもここまで来れた理由。

「人との繋がり」

それがすべてだと思います。

わたしには信頼できる先輩がいます。

尊敬できるコーチの皆様がいます。

弱いわたしを見守ってくれた地元の友人がいます。

遠くからでも挑戦を後押ししてくれた家族がいます。

こんな弱いわたしについてきてくれた後輩がいます。

そして共にここまで乗り越えてきた最高の同期がいます。

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「MASTIFFSに関わるすべての方々と現役部員を繋ぐ架け橋になること」

この3年間、前に進む力をくださった皆様へ少しでも恩返しをしたいと思い主務になりました。

 

・OB・OG、後援会、ファンクラブの皆様

今年度も皆様からたくさんのものを頂くばかりでした。

試合会場で、また文面を通して

いつも温かい「ご支援・ご声援」をいただき誠にありがとうございます。

TOP8という舞台での戦いは、苦しく厳しいものでしたが

それでも我々を信じ戦ってくださった皆様に支えられ最後まで戦うことができました。

 

・コーチの皆様、MB・法人の皆様

わたしが入部してからのこの4年間。

MASTIFFSという組織が急速に大きく、そして強くなりました。

そんな瞬間にMGとして、主務として携われて本当に幸せでした。

至らぬ点も多々あったと思いますが、ご指導・ご助言いただき

誠にありがとうございました。

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「この部で一番先を見据え、視野の広い人間であること」

どんな苦しい状況でも「前を向いて」突き進む。

部員が目の前のことに集中できるよう、先回りする。

MASTIFFSのためならば、進んで嫌われ役も引き受ける。

そんな覚悟を持ってこの1年間過ごしてきました。

 

・後輩へ

苦しく厳しい1年になることをわかったうえでMASTIFFSに我々51期が残せるものは何か。

そう考えたときに4年生全員で感じた「人財」の重要性。

MASTIFFSの礎になるべく勧誘活動・育成に注力しました。

常に高いレベルを求めて、厳しいことばをかけてきたと思います。

それでも逃げずについてきてくれ、

日々成長する下級生の存在は間違いなく今年度の私の支えでした。

最後の1秒まで、前を向いて戦い続けよう。

 

・同期へ

4年間の集大成。

泣いても笑っても最後の試合です。

11月27日を終えたら、この4年間の当たり前がなくなります。

同期23人がいたから今のわたしがいます。

ここまで楽しいことも苦しいこともともに乗り越えてきたんだから、

絶対に後悔なく「全員で」最後まで戦おう。

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わたしは弱い人間です。

こんなわたしが自信をもって誇れること。

それは「人との繋がり」です。

それは「素敵な組織に所属している」ということです。

それだけで弱いわたしを受け入れ、少し自分を好きになることができました。

 

そんなわたしの今の夢。

それは「このチームで勝利を掴み取ること」

多くの方々が想いを紡ぎ、やっと掴み取ったTOP8の舞台で戦う切符。

長く苦しい日々のなかに、楽しさを見出し続けてきました。

そして胸が震える瞬間を何度も経験させてもらいました。

MASTIFFSの一員になることができて幸せです。

 

日本大学戦は今年度の集大成。

MASTIFFSに関わるすべての皆様とともに、最後の笛がなる瞬間まで、

粘り強く戦います。

『下剋上』を成し遂げる我々と共に戦ってください。