覚悟を決めて、喜びを知り、強くなれる
(記:2022/11/15)
覚悟を決めること、喜びを知ること。
これらは、強くなるための1番の近道であると私は思う。
4年間の活動を振り返ってみる。この部に入部して1年間は全ての経験が新鮮で、純粋にアメフトの魅力に引き込まれていった。秋リーグ戦はスタッフ登録をして、試合中は自ら志願してオフェンスコーディネーターの隣に陣取るようになった。作戦ボードを出しながら、隣で多彩に繰り出される戦術の面白さに取りつかれていった。劇的な試合展開に感動し、気づけばアメフトも、このチームのことも大好きになっていた。
2年目。急激に体が大きくなった私は、先輩の助言によってTEからOLへコンバートした。春オープン戦で練習を重ね経験を積みたいと考えていた矢先、コロナの影響でグラウンドでの活動ができなくなってしまう。夏に活動が再開してすぐ、先輩の怪我によっていきなりスターターになる可能性が出てきた。OLにおいては初心者同然の自分が試合に出るしかないと分かったこのときが、覚悟を決めた瞬間である。とにかく必死だった。やらざるを得ないという後ろ向きな気持ちはなく、やってやろうと腹を括り、居残り練習も含めた全ての練習に本気で取り組んだ。初めてDLと1対1の勝負をしたときには、手の指を怪我してしまった。シーズンが終わった後骨折していたと分かるのだが、当時の自分にとっては手の痛みなどどうでもよかった。ただ、大好きなチームで試合に勝つ、そのために必ず自分が力になる。その思いがあるだけで、覚悟があるだけで、練習から離れる理由は吹き飛んだ。覚悟を決めた人間は、簡単には倒れない。
迎えた日本体育大学戦。2017年に入れ替え戦で敗れた因縁の相手に大勝を収めることができた。自分自身は最低限のプレーをしただけだったが、アメフトをするうえでこれ以上ない喜びを、先輩方のお陰で味わうことができた。オフェンスとして時間をかけて準備してきたプレーが成功してタッチダウンする。サイドラインに戻ると仲間が満面の笑みで迎えてくれる。そして、試合に勝つことができる。今までの厳しい練習を忘れるくらいの喜びが、そこには待っていた。この試合を含めて、みんなと喜びを分かち合う数々の経験は、自分が4年間部活を続け、強くなるための大きな原動力になった。
しかし、私が4年間で味わったのは、決して喜びだけではない。先述の日体大戦に続いて行われた慶應義塾大学との試合では、オフェンスとして準備したプレーがほとんど機能しなかった。自分は相手との勝負にことごとく敗れ、QBを守ることができなかった。試合にも完敗して自分の弱さを実感するとともに、アメフトの本当の怖さを初めて知ることになった。自分の1つのミスで試合の流れを壊したり、味方を危険に晒してしまう。その恐ろしさは、この試合だけでなく4年間で何度も感じることがあった。その度に、より強くなると自分に言い聞かせていた。
3年生になってからは、2年生までとは違い部活が苦しいと感じることが増えてきた。自分が到達しなければならないレベルが分かるので、それに達していない自分にもどかしさを感じることが多かった。ミスを恐れて消極的なプレーが増え、変えようとする努力も空回りしているような感覚があった。4年生で主将になってからは、他のTOP8のチームと自分たちとの大きな差を感じ、悩むことが増えた。シーズン中も結果がついてこないなか、責任を自分で抱え込むこともあった。
しかし、どんなときもグラウンドに行けば、沢山の後輩たちが覚悟を決めて練習に向き合っていた。かつての自分がそうだったように。チームとして人数も経験値も足りないなか、4年である自分たちとともに覚悟を決めて戦ってくれる後輩たちがいる。そんなチームの主将であることに、今までとはまた違う、大きな喜びを感じている。
怖い、苦しい。様々な感情が、4年間で溢れていた。それでも部活を続けて来られたのは、大好きなこのチームを背負って立ち、最後までやり切る覚悟を決めているからだ。そしてその先に、何にも変えがたい喜びがあることを知っているからだ。私は後輩たちに、アメフトをする喜び、MASTIFFSで活動する喜びを教えることができているだろうか。そのために残された期間は、残り僅かである。下剋上を目指す戦いもあと1試合。最後に皆で喜び合うために、最前線で戦う姿を見せ続ける。
最後になりますが、日頃よりMASTIFFSを応援してくださるOB・OG、後援会、ファンクラブ会員の方々に、心より感謝申し上げます。TOP8で戦えることへの感謝と喜びを胸に、日本大学との最終戦も下剋上を目指し戦い抜きます。ご声援のほどよろしくお願いいたします。