
「役割」
記 2025.11.12
アメリカンフットボールという競技は、いくつもの役割の積み重ねで成り立っている。ひとつのプレーの裏には、数えきれない準備と支えがあり、それぞれが自分の場所で自分の仕事を果たすことで、チームは動いていく。
入部して3ヶ月ほど経った春シーズンの終わり頃、キックASになった。最初はなんとなく任されたような気持ちで、深く考えることもなく決めた。けれど、アメフトに触れる時間が増えるにつれて、オフェンスやディフェンスのことがまったく分からず、競技そのものがどこか遠いもののように感じていた。
それでも、毎日のように練習に取り組むスペシャリストたちを見ているうちに、少しずつ、やりがいのようなものを感じるようになった。
彼らは難しいことを当たり前のようにこなす。ミスが許されない状況の中で、成功することを「普通のこと」として求められる。それでも黙々と練習を重ね、自分のポジションの練習に加えて、スペシャリストとしての準備も欠かさない。
その姿を見ていると、ただ純粋にすごいなと思ったし、少しでも近くで見ていられることがありがたかった。
4年になった今、少しだけキックの解像度が上がって、その奥深さを実感するようになった。もちろん、オフェンスやディフェンスのことも学んでみたかったという思いはあるが、なんだかんだキックASも楽しかったなと思っている。
MASTIFFSのキックの強みは、選手の誰もが何かしらの形でキックに関わってくれていることだと思う。オフェンスやディフェンスの主力として出続けながら、キックにも全力で臨む人。出番が多くなくても、キック内で役割を見つけ、プライドを持って取り組む人。それぞれの姿に、何度も勇気をもらった。
そんな選手が試合で結果を残す瞬間を見るたびに、自分まで心が震えた。プレーしているわけではないのに、同じ熱量で喜ばせてもらえるのがありがたかった。その瞬間の積み重ねが、この4年間のいちばんのやりがいだったと思う。
キックの一つ一つのプレーは、試合の流れをつくり、わずかな差を生み出す。その一瞬の積み重ねが勝敗を左右することを、この1年特に痛感した。そして、その瞬間を少しでも確かなものにするために、残りの試合、自分にできることを考え続けたいと思う。
気づけば引退間近となっているが、MASTIFFSで活動する中で、迷うことや戸惑うこともあった。同期が減り、同じ立場の人が少なくなっていく中で、不安を感じることもあった。
それでも、サー棟で顔を合わせ、いつも通り作業をして、そんな時間があるだけでなんとなく続けられていた。どんな状況でも穏やかで、笑顔で、自分の役割を全うしている人が横にいたから、自分も頑張ろうと思えた。
みんなが自然に動き、言葉にしなくても流れができていく。その空気の中で過ごす時間が、自分の居場所だった。
後輩たちは、立場なんて関係ないくらい頼もしかった。忙しい中でも、目の前の仕事に真っすぐ向き合っていた。正確で、謙虚で、誠実で、責任感がある。いきなり大きな役割を任されても、当たり前のようにその使命を受け止め、どんな状況でも責任感を持ってやり切っていた。辛い中でも同期の支えとなってくれて、地味で根気のいるような作業も、常に隣でサポートしてくれた。みんなが自分の後輩でいてくれて、本当に恵まれていたと思う。そして、心から尊敬している。
最後に、
この4年間をここまで楽しく続けてこられたのは、ASのみんなのおかげです。
作業の合間の何気ない会話も、くだらない笑いも、
その全部が、部活を「しんどい場所」ではなく「帰ってくる場所」にしてくれました。
誰よりも真面目で、優しくて、頑張り屋な人たちと一緒にいられたこと、
それが何よりの幸せでした。
本当にありがとう。
日頃よりMASTIFFSを応援してくださっている皆さまへ。
これまで変わらぬご支援とご声援をいただき、本当にありがとうございました。
残りの試合では、このチームの一員としての責任を果たし、自分にできることを最後までやりきります。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。